岩手調査班 報告書

『東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に』

山本 唯人 編

2014年3月

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山本唯人, 丸山真央, 植田剛史, 岩舘豊
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月 [lang: ja]
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掲載論文一覧

はしがき
山本唯人
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………東日本大震災の研究は、ジャンルを超えてさまざまな角度から行われてきましたが、本共同研究の特徴をひとつあげるとすれば、研究メンバーが共同で地域の中に滞在し、フィールドワークや現地の資料調査を駆使し、総合的な角度から地域社会の性格を浮き彫りにする共同地域調査の手法をとっていることです。………調査は継続中ではありますが、震災から3年目という時点におけるドキュメントとして、それなりに意味のある記録になっているのではないかと考えています。東日本大震災が地域社会に何を刻み、そのことがまた地域社会のどのような再創造をうながすのか、揺れ動く現実と地続きの場所に立つ記録者として、これからも、見つめ続けていきたいと思います。………

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第1章 大船渡市の概況と東日本大震災における被害状況
丸山真央
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………岩手県大船渡市は岩手県沿岸南部に位置する。陸前高田市と気仙郡住田町とともに気仙地方と呼ばれることもある。大船渡市はその気仙地方の中心都市である。なお、かつて気仙郡三陸町があったが、2001年11月に旧大船渡市に編入合併された………2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって、大船渡市では震度6弱の地震を観測した 。またこれに伴う平成三陸大津波では、大船渡市では最大波11.8メートルの津波を観測した(気象庁現地調査)。この津波によって、大船渡市では死亡340人、行方不明79 人の人的被害が発生した。また建物被害は5556 世帯(全壊2789世帯)にのぼり、物的被害は総額約1077 億円と推計されている。発災直後の避難所への避難者は最大8737人にのぼった(2011年3月15日時点)………

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第2章 東日本大震災クロニクル——大船渡 2011.3.11 – 2011.4.30
植田剛史
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………「社会と基盤」研究会では、2011年3月11日から5月11日の間に東日本大震災に関連して生じたと考えられる出来事10,777件を掲載した「東日本大震災クロニクル 2011.3.11-2011.5.11」を2011年に作成し、英文電子ジャーナル『Disaster, Infrastructure, and Society』1号で公開した。しかし資料上の制約に加え、クロニクルの作成自体が東京での震災経験に基礎づけられていたことから、たとえば大船渡市のような岩手県沿岸部のローカルな空間をめぐって同時期に何が起きていたのか、必ずしも十分に描けてはいなかった。今回、東海新報やその後の現地調査で収集した資料を新たに加え、大船渡というローカルな空間をめぐって2011年3月11日から2011年4月30日の間に起きた出来事891件を掲載する「東日本大震災クロニクル――大船渡 2011.3.11 – 2011.4.30」を作成した。………

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第I部 支援活動の展開

第3章 岩手県大船渡市における東日本大震災の被災者支援活動——ボランティアネットワークの形成を中心に
山本唯人
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………本稿では、東日本大震災にともなう津波によって大規模な被害を受けた岩手県大船渡市の災害後の状況と被災者支援活動についてまとめることにする。………東日本大震災では、………被災の程度やその様相については、地形や集落のかたち、産業などの状態によってまちまちであり、そのなかでも、岩手県沿岸部は、最も大きく集中的に津波の被害を受けた地域となった。………東日本大震災の被害を明らかにするためには、全体的な見通しと被害の地域的な類型を念頭におきながら、具体的なケース(地域)における状況を明らかにし、それをさらに他のケース(地域)と比較しながら、全体状況のイメージを再構成していくという手続きが必要になる。………本稿では、今回の津波によって大きな被害を受けた岩手県大船渡市の被害と支援活動の状況を記録にとどめるとともに、今後、他地域における研究の成果と照らし合わせ、より包括的な被害状況の解明と復興後のまちづくり、防災対策などの検討を進めるための一つの参考としたい。………

* 資料 岩手県大船渡市における被災者支援活動年表

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第4章 「後方支援」の空間とユニオニズム——遠野ボランティアセンターの事例から
岩舘豊
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………災害過程においては、直接的な被災地の内部のみならず、その外部においても様々な一時的活動空間が生成し展開する。三陸沿岸津波被災地外部からの支援活動の拠点空間は、どのようにして形成されたのか。………(1)市民活動/社会運動の動態………を具体的な空間から考察すること。(2)災害過程における労働/生存運動………はどのように対応し機能したのか。………本章では、2011年4月に岩手県遠野市において形成された「共生ユニオンいわて・遠野ボランティアセンター」を事例として、この一時的活動空間の生成・展開過程を記述し考察する。………

* 資料紹介1 『遠野ボランティア日記』

* 資料紹介2 インタビュー映像「災害ボランティアの後方支援――共生ユニオンいわての試み」

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第II部 地域社会の重層的対応——岩手県大船渡市三陸町地域の事例

第5章 平成三陸大津波をめぐる合併自治体の対応——岩手県大船渡市三陸町調査報告(1)
丸山真央
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………岩手県大船渡市三陸町地域で実施した調査結果を報告する。………1990年代末から2000年代にかけて進められた「平成の大合併」政策の下で市町村合併をおこなった地域において、広域化・大規模化した自治体が、今回の東日本大震災の緊急対応・復旧・復興の各段階で、どのように対応した(している)のか。三陸町地域は、2001年に旧大船渡市に編入合併された旧三陸町にあたる。合併が震災対応にもたらした影響の有無・程度・内容を明らかにすることが、本調査を始めた………

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第6章 平成三陸大津波と「旧村」の自治——岩手県大船渡市三陸町調査報告(2)
丸山真央
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………基礎自治体の広域合併に伴って、その行政の災害対応にさまざまな影響が出る………行政が対応しきれない危機対応の空白が生じた場合、それを地域社会はどのようにして埋め合わせるのか。………市町村合併で生じる災害への 「脆弱性」を補い「復元力」を支えるしくみが、行政以外の地域社会のどこに伏在しているのかを明らかにすることが本章での課題となる。………震災対応において、行政の空白が生じた部分で、自治体より下位スケールにあるいくつかの地域的まとまりが、代替的な公共サービスの供給と、「地域」にかかわる政治的意思決定をどのようにおこなったのかを問うということになる。………

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第7章 平成三陸大津波と漁村の自治――岩手県大船渡市三陸町調査報告(3)
丸山真央
東日本大震災における支援活動と地域社会——岩手県大船渡市を中心に, 2014年3月, pp107-130 [lang: ja]

抜粋...

………本章では、「地区」より下位スケールの「部落」というまとまりに注目する。「部落」とは、村落やむらと呼ばれる、地域自治の基礎的な単位である。………「部落」は、それを構成する家と家との同族的関係や、漁業という生業をめぐる家と家との生産上のつながりを基礎にもっている。………三陸町地域における「部落」とその組織的・制度的基盤を明らかにしたうえで、………部落における震災対応の事例を概観する。………

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